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LUNCガバナンスとは、Terra Classicを動かしているオンチェーンの投票制度です。誰でもデポジットを付けて提案を出せて、ステーキング中のLUNCが7日間かけて賛否を投じます。可決されれば結果には拘束力があり、パラメータが変わり、コミュニティの資金が動き、ソフトウェアのアップグレードが予定されます。投票結果を覆せる会社は存在しません。
だからこそ、ガバナンスはLUNCを理解するうえで最も重要なテーマです。バーン税も、バリデーター手数料の下限も、デポジットの額も、コードのアップグレードも、すべて番号付きの提案から生まれました。ページ上部のライブフィードには投票受付中の提案が表示されます。このガイドでは、その読み方と参加のしかたを解説します。
Terra Classicは誰が決めるのか
票の重みはステーキングされたLUNCの量で決まります。取引所の口座やステーキングしていないウォレットに置いたままのコインには発言権がありません。バリデーターは、委任者が自分で投票しない限り、委任されたLUNC全体の票を投じます。2022年にTerraform Labsが手を引いて以来、これが唯一の意思決定の方法です。関わっている人たちについてはコミュニティガイドで紹介しています。
提案には実務上いくつかの種類があります。テキスト(シグナル)提案は意見を表明するだけで、それ自体では何も変えません。パラメータ変更提案は税率やバリデーター手数料の下限といった稼働中の設定を調整します。コミュニティプール支出提案はオンチェーンの金庫からチームやプロジェクトに支払います。ソフトウェアアップグレード提案は、全バリデーターが新しいコアバージョンに切り替えるブロック高を決めるもので、アップグレードのページで追いかけています。
提案番号はチェーン全体の通し番号で、すでに12,200を超えています。古い番号の多くはスパムだったり、デポジットが集まらなかったりしたため、番号には欠けが目立ちます。
ルール:デポジット・定足数・可決ライン・拒否権
投票ルールそのものもオンチェーンのパラメータなので、ガバナンス投票で変更できます。以下はチェーンから読み取った現在の設定値です。
| パラメータ | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 最低デポジット | 5,000,000 LUNC | 投票に進むのに必要(提案11780で1Mから引き上げ) |
| 初回デポジット | 1,000,000 LUNC | 提出時に20%を入れる必要あり(提案12071) |
| デポジット期間 | 14日 | 他の人がデポジットを追加できる期間 |
| 投票期間 | 7日 | すべての投票に共通の固定期間 |
| 定足数(クォーラム) | 40% | 投票が必要なステーキング済みLUNCの割合 |
| 可決ライン | Yesが50%超 | Yes・No・NoWithVetoの合計に対する割合 |
| 拒否権 | NoWithVetoが33.4% | 提案を否決し、デポジットをバーン |
つまずきやすい点が二つあります。一つ目は、定足数が総供給量ではなく、ステーキングされたLUNC全体を基準に測られることです。ステーキング量がおよそ9,000億LUNCなら、結果が有効になるまでに約3,600億LUNCの投票が必要です。二つ目は、Abstain(棄権)は定足数の達成には役立つものの、Yesの割合の計算からは外されることです。拒否権はさらに別の数え方で、NoWithVetoは棄権を含む投票総数に対する割合で判定されます。
500万LUNCというデポジットには理由があります。Terra Classicではスパム提案が多く、デポジットが安いと気軽に出せてしまいました。提案11780が2023年9月に最低額を引き上げ、提案12071が2024年2月に20%の前払い要件を加えました。拒否権でデポジットがバーンされる仕組みと合わせて、冗談半分の提案にも現実のコストがかかるようになっています。
実例:提案12223はこうして可決された
提案12223はバーン税を0.5%から1.5%に引き上げるもので、2026年8月2日に投票が締め切られました。最終的なオンチェーン集計は、Yesが約2,319億、Noが約903億、NoWithVetoが約1,183億、Abstainが約2,748億で、投票総数はおよそ7,150億LUNCでした。これで定足数40%はクリアしています。
可決ラインの判定では棄権を除きます。Yes÷(Yes+No+NoWithVeto)は約4,405億分の2,319億で、52.6%です。50%を上回ったので可決となりました。拒否権の判定ではNoWithVetoを投票総数で割ります。7,150億分の1,183億で約16.5%なので、33.4%には遠く届きません。一部のニュースサイトは「96%の支持で可決」と報じましたが、チェーン上の結果はずっと僅差で、棄権の割合も38.4%ありました。新しい配分の内訳はバーン税のページで解説しています。
Galaxy Stationでの投票方法
Hexxagonが開発するGalaxy Stationは、Terra Classicで投票する人の多くが使っているウォレットです。ChromeやBraveの拡張機能、Webダッシュボードとして動き、Ledgerにも対応しています。KeplrでもLUNCのステーキングはできますが、投票はサードパーティのサイト経由になります。各ウォレットの比較はウォレットガイドをどうぞ。
Galaxy Stationを入れる
ChromeかBraveに拡張機能を追加し、ウォレットを新規作成するか24語のStationシードをインポートして、Terra Classicを選びます。シードは紙に書き、どのWebサイトにも入力しないでください。
ウォレットにLUNCを入れる
取引所からネイティブLUNCをterra1アドレスに出金します。ガス代用に少し多めに入れておきましょう。
バリデーターにステーキング
Stakeを開き、バリデーターを選んで委任します。投票できるのはステーキング中のLUNCだけです。解除には21日かかるので、ロックしても困らない分だけにしましょう。
提案を開く
ガバナンス画面かFinderで提案を探し、本文とメタデータ内のフォーラムリンクを読んで、投票期間中であることを確認します。
投票して署名
Yes・No・NoWithVeto・Abstainのいずれかを選んで確認し、トランザクションに署名します。1〜2ブロックほどでエクスプローラーに反映されます。
多くの人が飛ばしてしまうのが、先にステーキングするという手順です。投票したいけれど委任先に迷っているなら、バリデーターガイドとステーキングガイドを読んでみてください。利回りは年およそ2%(手数料控除後)と控えめですが、多くの保有者にとって本当のメリットは投票権のほうです。
ステーキングするLUNCがまだない?
カードでUSDTを買い、LUNCを扱う取引所に送ってそこで購入し、Galaxy Stationへ出金する流れが一般的です。購入前に、その取引所のLUNC出金が止まっていないか確認しましょう。
日本にお住まいの方へ:これらのボタンの先にある取引所は日本居住者を受け付けておらず、金融庁に登録された取引所でLUNCを扱うところもありません。
自分で投票しなければ、バリデーターが代わりに投票する
Terra Classicでは、ほかのCosmos系チェーンと同じく、バリデーターの票は委任されたLUNC全体に適用されます。自分で投票すれば、あなたの持ち分についてはバリデーターの票があなたの票に置き換わります。どの提案でも、どれだけ少ないステーク量でも可能です。ただ、ほとんどの委任者は投票しないため、大きなバリデーターの発言力が強くなっています。
この集中は現実の問題です。上位6つほどのバリデーターだけでステーキング総量の3分の1以上を握っており、足並みをそろえればNoWithVetoで提案をつぶせます。バリデーター選びで投票履歴が大事なのはそのためです。各バリデーターが過去の提案にどう投票したかはエクスプローラーで確認できます。委任する前に、税や支出に関わる提案での投票を見ておきましょう。
実践的なコツをひとつ。委任先がいつも棄権する、あるいは自分の考えと逆の票を入れるなら、別のバリデーターへすぐに再委任(リデリゲート)できます。ただし再委任した分は、その後21日間は再び動かせません。
コミュニティプール:中身と補充の仕組み
コミュニティプールはTerra Classicの金庫です。およそ90億LUNCと数千万USTCのほか、その他のトークンを少額保有しています。補充の流れは二つ。提案12223以降は1.5%のバーン税のうち0.15ポイント、そして50%のコミュニティ税を通じたガス代の半分です。最新の残高は供給量のページで確認できます。
このプールの鍵を持っている人はいません。資金が出ていくのはコミュニティプール支出提案が可決されたときだけで、受取アドレスは提案の中に書き込まれます。最近の支出では、IBCリレー、Cosmos SDK 0.53へのアップグレードの2つのフェーズ、そしてEthereum・BNB Chain・SolanaとつなぐHyperlaneブリッジに資金が出ました。Hyperlaneの予算は納品後にのみ支払われる形で、これは見習うべきモデルだと考えています。
投票者は拒否することもできます。2026年8月には、プールの準備金に上限を設けて余剰分をオラクルプールに回そうとした提案12224が否決されました。2026年10月には、有償のセキュリティ監査(12228)がNoWithVeto 42%超で否決されています。
Terra Classicを形づくった提案
番号で検索されることの多い投票をまとめました(「lunc 3568」のような検索です)。結果は各提案の最終オンチェーン集計に基づいています。
| 番号 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 3568 | 1.2%バーン税のシグナル(コードなし) | 可決・2022年6月 |
| 4080 | 手数料の50%をコミュニティプールへ | 可決・2022年6月 |
| 4159 | Terra Rebelsのコード配布を承認 | 可決・2022年8月 |
| 4661 | 1.2%の税パラメータを設定(9月21日ごろ稼働) | 可決・2022年9月 |
| 4793 | 取引所にバーン適用を要請(拘束力なし) | 可決・2022年9月 |
| 5234 | 税率を1.2%から0.2%に引き下げ | 可決・2022年10月 |
| 10983 | バーン分の50%をプールへ再発行 | 可決・2022年12月 |
| 11111 | 10983を撤回(税率は0.2%のまま) | 可決・2022年12月 |
| 11168 | Joint L1 Task Forceを設立 | 可決・2023年1月 |
| 11487 | USTCリペッグのシグナル(コードなし) | 可決・2023年4月 |
| 11514 | バーン税の配分を80/20に | 可決・2023年5月 |
| 11515 | 税率を0.2%から0.5%に引き上げ | 可決・2023年5月 |
| 11780 | デポジットを1Mから5M LUNCへ | 可決・2023年9月 |
| 11868 | USTCの新規発行を停止 | 可決・2023年11月 |
| 11933 | 1.5%税への1回目の挑戦 | 否決・2023年12月 |
| 12097 | バリデーター手数料の下限を2.5%に | 可決・2024年4月 |
| 12149 | 1.5%税への2回目の挑戦 | 否決・2024年12月 |
| 12218 | コアv4.0.0(Cosmos SDK 0.53) | 可決・2026年4月 |
| 12223 | 税率を0.5%から1.5%に引き上げ | 可決・2026年8月 |
| 12234 | コントラクトコードのアップロードをガバナンス限定に | 可決・2026年10月 |
ここから三つの教訓が読み取れます。まず、シグナルはコードではないということ。3568は99.5%の支持を得ましたが、4159が実際に動くコードの配布を承認し、4661が1.2%のパラメータを設定するまで何も変わりませんでした。稼働したのはブロック9,475,200、2022年9月21日ごろです。次に、投票は覆されるということ。1.2%の税は1か月もたたずに5234で引き下げられ、10983も数週間のうちに11111で撤回されました。そして、ネット上の数字はよく間違っているということ。11111は0.2%の税率を決めたわけではありませんし、1.5%は11933(2023年12月)と12149(2024年12月)で2度否決されたのち、12223でようやく通りました。提案12234は開発者にとって重要で、今後コントラクトのコードにはガバナンスの承認か許可リストへの登録が必要になります。続く提案12236では、Juris ProtocolとLuncSwap.funという特定の2チームにこのルールのもとでのコードアップロードを認めるよう求めました。アプリへの影響はdAppsのページで扱っています。
提案の読み方と見極め方
まずは種類を確認します。テキスト提案はいわばアンケートなので、現実的な次の一手があるかどうかで判断します。パラメータ変更はメッセージに書かれたとおりのことを実行するので、メッセージ本文を読みましょう。「手数料を下げる」というタイトルと、パラメータ値0は同じ意味ではありません。支出提案には受取人、金額、できればマイルストーンが必要です。アップグレード提案には、github.com/classic-terraで公開・タグ付けされたバージョンと、ブロック高が必要です。
次に議論を追います。最近の提案の多くはLuncGoblins Discourseのスレッドにリンクしており、デポジットが入る前に草案がそこで議論されます。本文とリアルタイムの集計はGalaxy Finderで読めます。旧Agoraフォーラムは、TFL時代のアーカイブです。
最後に四つの問いを立ててください。誰に、いつ支払われるのか。Hyperlaneの助成のように、支払いは納品が条件になっているか。提案12033で資金を受けるL1開発者にKYCが義務化されたことを踏まえ、チームの素性は分かっているか。そして否決された場合にどうなるのか。NoWithVetoはスパムや有害な提案のためのもので、単に気に入らないアイデアに使うものではありません。その場合はふつうのNoが正しい選択です。
読んでから投票よくある質問
LUNCのガバナンス提案にはどうやって投票しますか?
Galaxy StationなどのウォレットでLUNCをバリデーターにステーキングし、7日間の投票期間中に提案を開いて、Yes・No・NoWithVeto・Abstainのいずれかを選んでトランザクションに署名します。ガス代用に少しLUNCを残しておきましょう。投票できるのはステーキング中のLUNCだけです。
LUNCの提案を出すにはいくら必要ですか?
投票に進むには5,000,000 LUNCのデポジットが必要で、提出時に最低1,000,000 LUNCを入れなければなりません。残りは14日以内なら他の人が追加できます。NoWithVetoで否決されるとデポジットはバーン(焼却)されるため、スパム提案は高くつきます。
投票しないとどうなりますか?
あなたのステーキング分には、委任先バリデーターの票がそのまま反映されます。自分で投票すれば、その提案についてはあなたの票がバリデーターの票を上書きします。取引所に預けたままのLUNCや、ステーキングしていないLUNCには投票権がありません。
LUNCのコミュニティプールとは何ですか?
オンチェーンの共同金庫で、およそ90億LUNCと数千万USTCを保有しています。バーン税の一部とガス代の半分で補充され、ガバナンス投票で可決されたコミュニティプール支出提案を通してしか使えません。
LUNCの提案12223とは何ですか?
オンチェーンのバーン税を0.5%から1.5%に引き上げた提案で、2026年8月2日に可決されました。1.5%のうち1.2ポイントがバーンされ、0.15ポイントがコミュニティプール、0.15ポイントがオラクル報酬プールに入ります。棄権を除いた票のうち賛成は約52.6%でした。
NoWithVetoとはどういう意味ですか?
スパムや有害だと考える提案に使う、より強い反対票です。NoWithVetoが投票総数の33.4%に達すると、賛成の割合に関係なく提案は否決され、デポジットもバーンされます。
出典
- Terra Classic LCD — ガバナンス集計パラメータ · オンチェーンのパラメータ
- Terra Classic LCD — 提案12223 · オンチェーンの提案
- Terra Classic LCD — コミュニティプール · オンチェーンの残高
- Galaxy Finder — 提案一覧 · ガバナンス・エクスプローラー
- Galaxy Station ドキュメント · ウォレットの公式資料
- LuncGoblins Discourse · ガバナンス・フォーラム
- terra-classic.io ドキュメント · コミュニティ資料
